唐松岳・五竜岳(19/09/13-14)


 

☆天気

 

(9/13) 遠見尾根上部は晴、下は曇り

 

(9/14) 晴

 

 

 

☆チェックポイントと通過時刻

 

(9/13)東京駅八重洲南口バスターミナル(集合)0010 ===(WILLER新宿横浜・長野線乗車)=== 0620長野駅東口バスターミナル0820 ===(アルピコ交通長野・白馬線乗車)=== 0935白馬五竜バス停 --- 0950エスカルプラザ・五竜テレキャビン乗り場1005 ===(ゴンドラ・五竜テレキャビン乗車)=== 1015テレキャビン降り場(入山)1025 --- 1045地蔵の頭 --- 1150小遠見山1205 --- 1300大遠見山 --- 1500五竜山荘(テント泊)

 

 

 

(9/14)起床0400→五竜山荘0500 --- 0555五竜岳0610 --- 0700五竜山荘0710 --- 0920頃牛首 --- 0935唐松岳頂上山荘0945 --- 0955唐松岳1010 --- 1020唐松岳頂上山荘1030 --- 1230八方グラートクワッド乗り場(下山) ===(八方グラートクワッド・アルペンクワッド・ゴンドラ乗車)===1310ゴンドラ降り場 --- (昼食後、白馬八方バスターミナルへ移動) --- 白馬八方バスターミナル1415 ===(京王バス白馬・新宿線乗車)===2030バスタ新宿(解散)

 

 

 

☆行動と感想

 

 9月の定期山行第1弾として企画された北アルプス五竜岳・唐松岳。山行のかなり前(夏休みに入る前の7月)に参加者を募ったため、都合がつかず参加を見合わせたメンバーが多く、当初の半分ほどの5Pにて開催した。

 

 

 

 木曜日の深夜、東京駅八重洲口の高速バス発着場に集合。格安(\2,400!) だがクオリティーの高いWILLERの夜行長野線に乗り込み、到着まで短めの睡眠をとった。翌朝6時過ぎに長野駅前のバス停にて降車、2時間の乗り換え待ちの後、白馬乗鞍行きのアルピコ交通特急バスに乗車し、峠越えして白馬に進入、白馬五竜で下車した。白馬五竜バス停は有名な白馬五竜スキー場のエスカルプラザ前にあるものと思いこんでいたが、実際にはかなり離れた幹線沿いに小さな標識が設置されているところで降車し、エスカルプラザまでは15分ほど歩いた。

 

 

 

 エスカルプラザにてトイレ休憩とパッキングを済ませ、五竜のメインのゴンドラ=テレキャビンに乗車。五竜スキー場のイメージ通り急な勾配をわずか10分で標高約1,500mの終点まで登り切り降車、入山した。最初のうちは登山装備なしにも散策できる遊歩道を通過。高山植物園がなかなか見事でゆっくり見て回りたいが、激混みの五竜山荘にテントを張るため先を急いだ。地蔵の頭で遊歩道が終了すると、ここからは登山者の領域。必要以上に長く退屈と界隈で不評の遠見尾根を標準より少し速めのペースでひたすら歩き続け、小遠見山、中遠見、大遠見と順調にピークを越えていった。ちょうど雲海の上面あたりにいて、周りの山々が見えたり隠れたりを繰り返すのをもどかしく思ったり、典型的な二重山稜地形とその間に挟まるように細長く伸びる池塘を鑑賞していると西遠見池に到達。ここから標高差約400m、岩場鎖場まじりの登りをこなして白岳に登頂し、1週間ぶりに北アルプスの主稜線に立ち、数分下って五竜山荘にテント泊チェックインした。金曜日の午後3時、テントスペースは3~4張分残されていた。ぎりぎりセーフ。

 

 

 

 五竜山荘は五竜岳山頂まで約12時間の稜線上標高約2,500m地点にある。名物のTシャツはすでにMサイズが完売していて購入できなかった。外トイレは比較的清潔だった。テント場は小屋のすぐ近くで便利だ。水は他の北アルプスの小屋と同じく、有料で給水になる。到着が若干遅めだったので、テント設営後まもなく夕食のチャプチェを作りいただく。ほぼ時を同じくして、小屋の外トイレ前から毛勝三山方面に沈む夕日が非常に美しかった。東に展開する見事な雲海の上から中秋の名月が登ってきたので、夜は月に任せて太陽とともに床に就いた。

 

 

 

 

 

 翌朝は4時に起床。食パンと行動食にて簡単な朝食を済ませ、テントをたたんで5時前に出発した。皆足取りも軽く、(日の出の瞬間に稜線裏にいたのは残念だったが)モルゲンロートの色彩を堪能しながら登高し、山頂の肩へ。山頂への登りの後半は鎖が連続する長い岩場で、重いザックを煩わしく思いながらも順調に登り続け、鹿島への主稜線を左に分け、黒部側に稜線を辿って念願の五竜に登頂した。先日雷の直撃を受け破壊されたという山頂標柱は撤去され、代わりにメイクシフト・手作りの小さな看板が設置されていた。なかなか味のある自体で五竜岳と書かれていた。

 

 

 

 記念撮影を済ませたらもう山頂に用は無いとばかりに足早に下山開始。何せ今日中に唐松も登頂し、東京新宿に戻らないといけないのだから。先週他校の方々と鹿島槍ヶ岳に登った時、下山後千曲の温泉旅館に泊まって疲れを癒し、山以外の信濃の名所も巡れたのとはまるで対照的だ。一橋山岳部の合宿は経済的でありがたいけれど、高い費用を払って心と体に余裕のあるスケジュールで登山するのも楽しいですよ皆さん。後立山連峰は鍛える山ではなく楽しむ山だと認識しています。

 

 

 

 というわけでせかせか下ったので急な岩場もなんのその、休憩もなしに山荘に戻ってきた。荷物の一部をデポしたメンバーはここで回収、唐松に向けて景色の素晴らしい稜線を下り、登り返し、牛首の岩場を通過。牛首は主稜線がやせ細って岩稜がむき出しになった長めの鎖場で、唐松・五竜間最大の難所とされているが、道は稜線上ではなく黒部側の斜面につけられているため、大キレットや穂高連峰の馬の背ほどのスリルはなく、落ち着いて通行すれば登山1年生でも問題ない。この牛首を無事越えると、唐松岳頂上山荘に到着だ。

 

 

 

 唐松岳頂上山荘は唐松岳の山頂まで徒歩15分ほど、槍ヶ岳から白馬岳へと続く北アルプスの主稜線に八方尾根が合流する地点にある。東側に小高い山があり、テント場は西側に下ったところにあり。東風にはめっぽう強そうだ。長野県でよくある学校登山にも対応できるだけあって非常に頑丈で巨大な山荘だった。宿泊はまたの機会に。

 

 

 

 頂上山荘前にて荷物の大半をデポさせていただき、身軽になって唐松岳の頂上へ。特に難所はなく、10分ほどで登り切った。ここから見る五竜は非常に大きい。標高はそれほど高いわけではないが、「山容雄偉、岩稜峻厲、根張りのどっしりした山」という深田久弥のコメント通りの偉容だった。また黒部谷を挟んで反対側には立山が大きく高く聳え、その向こうの富山側はあまり見えない。同じく富山からもこちら=後立(ごりゅう)はあまり見えない。北側に目をやると、すぐそこに不帰キレットの岩峰群、その奥に白馬三山が優美な姿で見えている。今週も良いコンディションを引き当てたものだ。東京からここまで人数分運んできたラムネの瓶を配り、栓を開けてグイグイ飲みながら周囲の展望を堪能し、素敵な夏山シーズンが過ぎ行くのをしばし惜しんだ。

 

 

 

 唐松岳から八方スキー場までの下りは有名な八方尾根。登山者が多く、紅葉シーズンの高尾山並に渋滞するシーンもあり難儀したが、当初の予定から遅れることなく着実に下り、八方池を経てリフトの乗り場まで戻ってきた。リフト2本とゴンドラ1本を乗り継いで速攻で標高を下げ、昼食休憩の後、高速バスの白馬・新宿線に乗り込んだ。途中渋滞により遅延があったものの大体予定通りに東京新宿に帰還、新宿駅にて解散となった。

 

 

 

 

 

☆感想と反省

 

 この合宿では(今年の夏休みの多くの合宿と同様)天候に恵まれて絶景にまみれ、後立山連峰が老若男女問わず愛される理由が良く理解できた。安曇野白馬と富山をわずか2本の薄い山脈で隔てる北アルプス北部では、山麓からはその雄大な姿を望め、また稜線上の絶頂に立てばはるか下まで見下ろせる景色が自分のものだ。夏山の終わりにふさわしい良き山行だった。続く秋山シーズンも天気に恵まれることを祈るばかりだ。

 

 

 

 次に反省点。最大の反省点は私自身の食料持参忘れ。なんと行動食・非常食に加え、共同食料のうち羊羹・調理油を家に忘れてしまうミスを犯してしまい心より反省している次第です。(カロリーを1日目は持参したフルーツジュースで、2日目は五竜山荘の菓子パンで補うことに。) 2か月間に及ぶ夏季休暇中、山岳部、他校の山岳部、そして個人でのプライベート山行など計7度に及ぶ遠征を敢行するにあたり、回数を重ねるごとに準備がおろそかになっていってしまったのが否めない。基本に立ち返って、自分なりのリストを作り装備を整理する良い機会にさせていただきたく思う。

 

☆写真

 

 

 

 

遠見尾根上部から見た五竜岳の東面。水墨画さながら。(9/13 14:10 撮影:山下)

 

 

五竜山荘のテント場から、毛勝山方面に沈む夕日。(9/13 17:50 撮影:山下)

 

 

五竜山荘から、日没と同時に昇る中秋の名月、照らされる雲海。(9/13夕刻 撮影:松橋)

 

 

五竜山荘から見た五竜岳。(9/13 17:55 撮影:山下)

 

 

 

 

五竜岳頂上付近から薬師岳・立山・劔岳。(9/14 06:05 撮影:山下)

 

 

牛首の岩場を通過。(9/14 09:25 撮影:山下)

 

 

彼方に噴煙を上げる浅間山。牛首の近くから。(9/14 08:35 撮影:山下)

 

 

八方尾根から白馬方面の山並み。(9/14 10:35 撮影:山下)