メンバー:
内海拓人(法3)、大矢和樹(法3)、曲文琛(社3)、原島大介(商2)、坂本遼(法2)、小久保剣(法2)、田中亨(商1)、岩崎拓実(法1)
コース及び時間:
≪一日目≫
10:35麦草峠→11:20丸山→12:20白駒池にゅう方面分岐点(昼食20分)→13:45にゅう山頂(休憩25分)→15:00中山峠→15:10黒百合平
≪二日目≫
5:00黒百合平→5:05中山峠→6:15天狗岳山頂(休憩15分)→6:55根石岳山頂→7;25夏沢峠(休憩10分)→8:25硫黄岳山頂(休憩20分)→9:00赤岩の頭→9:50赤岳鉱泉→12:20美濃戸口
天気:両日晴れ
≪一日目≫
今回の八ヶ岳山行は昨年の同時期の八ヶ岳山行が気候的に非常に良かったことが思い出された上、新入生にはテント泊に慣れてもらおうということで計画されたものである。起点を麦草峠に据えたのは、北八ヶ岳方面から縦走できるためである。僕自身、テント泊は実に昨年9月末の北アルプス表銀座縦走以来であり、夏に向けてある意味でリハビリのような側面もあった。
天気はほぼ終始晴れており、絶好のコンディションであった。初日麦草峠へ向かうタクシーの中で八ヶ岳方面を見ると薄雲が出ているのが少し気になったが、タクシーの運転手の方に聞いたところ、天候は問題ない、ただしやや寒いかもしれないとのことだった。実際に、麦草峠に降り立ってみると、やや肌寒く感じられた。しかし、時々吹きぬける涼しい風を感じると、八ヶ岳に来たのだなあと感慨に浸り、またテンションが高まった。麦草峠についていうと、トイレはやや登山口から離れたところにあるという点は注意されたい。
麦草峠から丸山にかけては、地図上一か所小ピークが存在するが、ほとんど気にならないレベルのものである。道は雨が降った後であるとぬかるみそうな個所が多い。また、丸山直下は踏み跡やリボンを丁寧に見ていかないと一瞬道がわからなくなることがあった。もっとも、終始今回の山行の先頭は私が歩いたが、何度か道を外れそうになったのでまだまだルートファインディング能力が低いと痛感させられた。
毎度、私が先頭を歩く山行は登り始めのペースが異常に早く非難を浴びるところではあるので、今回はかなり気にかけて抑えて入った結果、麦草峠から丸山にかけてはコースタイムの9割前後であった。丸山はれっきとした一つの山であるが標高があまり高くないために展望はあまりきかないのはやや残念であるが、山頂には少しスペースが存在するので休憩をとるには適している。
丸山から高見石方面への道は、丸山直下は石が多く少々急であるため、やや歩きにくいがすぐに平坦な道になった。ほどなくして高見石小屋を通過したが、問題が発生した。地図上にある高見石自体が見つからなかったのである。道自体は間違ってはいなかったものの、何故見落としたかは謎である。白駒池への下り道は比較的緩やかだったのでテンポよく下ることができた。あたりを見渡せば、まだ色の薄い新緑が森全体を覆っていて、森全体が生き生きとしているように感じられた。5月下旬の北八ヶ岳は森の中では昼でも冷涼な空気に満たされていて、深呼吸をすると体の中が洗われるようにさえ感じられるところである。
白駒池に到着すると、登山客ではない写真家の方や、ちょっと散策していますというようないれたちの方に会った。白駒池自体は我々のような面倒なコースを通ることなく、国道299号線沿いの駐車場から比較的アクセスしやすいため、当然といえば当然なのかもしれない。写真では紅葉の季節が最高に良いということは知っていたので、紅葉にも訪れてみたいと思ったが、紅葉の季節でなくても静謐な湖畔に佇むというのはまた一興であった。湖畔で昼飯を摂ると、いよいよにゅうに向けて歩き出した。すると湖畔を離れてまもなく、ちょっとした湿原のような場所に出た。広くはなかったが、周囲が森林で囲まれているところにあるのでちょっとしたオアシスのような空間であった。にゅうへの登りも丸山への登りと比較的似た様相を呈した。北八ヶ岳の山林の中をひたすら黙々と登っていく。黙々と登っている中で、ふと足元に視線を落とすとこけの種類の多さにも気づく。種類だけではなく、コケは実際に生えている絶対量も多いと感じた。そういわれてみれば、過去に北八ヶ岳を訪れた時も結構霧がかかっていることが多いように感じる。このような湿潤な環境がコケの多様性を生み出しているのであろう。
ほどなくしてにゅうに到着した。にゅうの山頂は岩がちである。しかしながら、景色は非常に良い。眼下には白駒池のほか、JR小海線沿いの町と思われる町も一望できた。南側に目を向けると雄大な硫黄岳や天狗岳も見えた。さらに硫黄岳の裾野付近に小さく富士山もしっかり見ることができた。
想像以上に良い景色で盛り上がっていたら山頂に長く居すぎてしまったため、にゅうから中山峠までは少々速いペースで歩いた。基本的には尾根を歩いていくのでアップダウンはそれほどなかった。尾根を歩いているものの、尾根の幅が広い上、森の中なので尾根を歩いているような感じはしない。ここもただひたすらに歩いていたら中山峠に到着した。中山峠は個人的には昨年3月以来であり、前回来たときは積雪期であったためやや印象が異なった。中山峠から黒百合平へ行くのは一瞬であった。途中木道が整備されていた。
黒百合平はおそらく激混みであろうと覚悟していたが、想像以上に空いていて驚きであった。そのためテントは非常に立てやすかった。テントの設営に関して、高校山岳部出身の田中にポールはテントに通しながら組み立てるものだということを初めて習った。6人用テントを二つ用意していたので、それぞれ4人ずつテントに入るように割り振ったが、テント内はかなり余裕があり、快適であった。食事に関しては天候も安定しているうえ、さほど寒くなかったので久々外で調理した。豚汁の準備は二年生が担当したが、味もよく、非常によくできていて、旨かった。炊飯は自信満々の内海が担当したが、さすがの出来栄えであった。アルファ米の方が軽くてよい面もあるが、普通のコメの方がやはり実際食べてみるとうまいので、できればこれからもコメは炊くようにしていきたい。夕食の準備をしている頃は、まだ上空に薄雲が広がっていたが、徐々に雲は薄くなり、夕食食べ終わったころにはすっかり晴れ渡っていたので、満天の星空を期待した。なお夜は8時ごろ就寝ということにしたが、僕は何故か眠れなかったので一人テントの外に出たが、空には期待通りの満天の星空であり非常に感動した。この時点で、黒百合ヒュッテの前の気温計はまだプラス値を示しており、それほど気温は下がらないのではないかと思っていたが、実際はそんなことはなかった。
≪二日目≫
起きたのは午前二時。起床予定よりも一時間も早く起きてしまった。気温は零下4度まで下がっていた。することもないので30分くらいシュラフにくるまっていたが、また星空を見に行こうと思い、早めにテントを出たところ月が煌々と照っていた。午後8時は少々人影や、ヘッドランプの明かりも見えていたが、午前二時半の黒百合平には人気とヘッドランプの明かりは皆無である。周囲には自分一人しかいない静謐な環境の中で見る星空は何にも代えがたい感動を与えてくれる。そして、ぼーっと佇んで月をみながら、イヤホンから流れる絢香の三日月を聴いているとき、なにかこみ上げるものを感じた。
午前三時になるとみな起き始め、朝食の準備を開始した。朝食もかなりスムーズに行えた。朝食はいつも通りラーメンにコーヒーである。ラーメンにしても、コーヒーにしても少し液体を残しておくと完全に凍り付いてしまうほどの寒さであった。テントのフライシートにはびっしり露が凍り付き、なかなか取りにくかった。今から考えればこのときしっかり氷を取っておくべきだったと感じた。
出発は予定通り五時に出発した。中山峠から少々登った地点が開けていて、北アルプスや大菩薩方面等々の山々を一望できる上、麓が朝霧の流動の中で見え隠れしている風景があまりに幻想的であったので、ついつい見とれたり写真を撮っていたりしたら少し休みすぎてしまった。天狗岳への道は想像以上に岩がちで歩きにくく、積雪期のイメージとは全く違った。しかしながら、天狗岳には休憩時間を除けばコースタイムよりだいぶ早い時間で登頂することができた。ほぼ完全な快晴で、中央アルプス、北アルプスは立山、剣岳の方まで、御嶽山、妙高山系、日光方面すべて見ることができて感動であった。天狗岳の山頂は比較的とがっているので流石に圧巻の景色であった。南側にはこれから自分たちが進んでいく道がはっきり見えてなおやる気がでてきた。
少々長めに休憩を取って、硫黄岳に向かって歩き出した。天狗岳から少し下ったところで、硫黄岳へ向かう景色が北アルプス表銀座の燕岳方面から歩いて大下りの頭から大天井岳方面を眺めた時の景色と類似していると感じた。天狗岳を下りきると素晴らしい稜線歩きになった。稜線を吹き抜ける風が頬を撫でる感覚は格別である。途中、根石岳を通過したが想像以上にしっかりとしたピークであり、少々驚いた。根石岳から夏沢峠にかけてはかなり長い下り坂が続いているなという感覚であった。しかし勾配はきつくないので歩きやすかった。しかしこのころから、リュックサックが重いと感じていた。あとから確認したところ、フライシートの露が融解してリュック内で浸水し、服が水を吸っていて重くなったのだと判明した。今回は一泊二日の山行だったので問題にはならなかったが、数日間続く縦走であれば致命的なミスであるので、今後は気を付けなければならないと感じた。夏沢峠に到着し硫黄岳を見上げるとその標高差にやや絶望したが、本日最後の登りだと思って頑張った。ちなみに夏沢峠から見えるのは硫黄岳のピークではなく、だいたい八合目に当たる部分である。実際に登ってみると峠から見える地点までは30分かかるかどうかで登ることができたが、そこから実際の山頂までが非常に長く感じた。
硫黄岳の山頂は広く平坦で、霧の時は降りる向きを間違えそうである。近くには爆裂噴火口が存在し、壮観であった。景色は天狗岳より標高が高いこともあって良いが、高度感はあまり感じられなかった。しかし相変わらず天気は良かったので、良い景色を堪能できた。風が比較的しっかり吹いており、フリースを着ていないと寒く感じた。
硫黄岳からはひたすら下りである。硫黄岳の直下は人通りが多い割には狭く、岩がちなので気を付けた方が良い。赤岩の頭から赤岳鉱泉までは快調に飛ばせた。コースタイムの半分くらいのペースであったのでだいぶ下りも速くなってきたように思う。赤岳鉱泉まではよかったが、感覚としてはここから美濃戸口までが果てしなく長く感じられた。勾配はほとんどないので平坦な部分を歩いているような感覚であった。美濃戸口についたときには想像以上にばてていた。
全山行を通して一年生は二人とも運動部出身だけあって非常に体力があり、ペースが落ちなかったのは素晴らしいことであると感じた。今回も様々な反省点があったので、次の山行に生かしていきたい。なんといっても最高の週末であった。(文責:大矢和樹)
事前準備
5月25日(水)の部会後にテント類・調理道具等の装備分けをした。その後先輩方はモンベルで足りないモノを調達してくださった。今回の食事は内海さんのご提案で豚汁を作ることに決まった。ネットにある腐らない簡単な山豚汁の作り方に従い、二年生の先輩方が豚肉を焼いて味噌漬けをするなど事前調理を行ってくださった。私は前日までに個人装備のα米の予備食、非常食、医具・裁縫用具一式、携帯トイレ、スパッツ等を準備した。今回はテント類はほとんど先輩方に持っていただいたので、私は共同装備がテントポールだけだったこともあり、水を多めに4リットル入れても15キロ弱でとても軽く感じた。
1日目 5月28日
朝は電車の時間が長かったため、とりあえず体力温存もかねて電車内では休眠をとった。現地のジャンボタクシーでは少し酔ったが、降りた後のすこしひんやりした麦草ヒュッテは私に始まりの高揚感を与えてくれた。その後しばらくすると山の中に入り少し急登を上ると丸山についた。小さな頂上に神社があったのは驚き、山岳信仰の深さを感じた。事前にこの場所に三角点があるのを確認していたにもかかわらず、現場で確認できなかったのは多少の心残りである。その後緩やかな下りを過ぎると白駒池についた。ボートが浮かんでいた白駒荘とは反対に曲がり白駒池の周りを歩いた。とてもきれいな白駒池を長めながら昼食を取り、今後訪れるであろう本日最大の敵、ニュウ手前の登りに向けて鋭気を養った。ここまでは山の中を歩いたり、湿原の横を歩いたりなどそれほど高度を感じることはなかった。しかし、ニュウは高かった。巨石の周りには自分より高いモノは何もなく2000メートル以上の高さに自分がいることを実感した。その後は下りが続き本日の幕営地黒百合平に到着した。到着後すぐにテントを張り夕食の調理に取りかかった。本日の夕食はレトルトカレーと豚汁だった。先輩方の事前準備のおかげでとてもおいしい夕食になった。夕食後は先輩からコーヒーをいただき一日の疲れを癒やした。その後はみんなでトランプゲームを行い、先輩方がとても興味深い(?)話をたくさんしてくださった。就寝は21時で、気づいたら眠りに落ちていた。
2日目 3月29日
3時に起床後お湯を沸かし、朝食のラーメンを食べた。その後テントを撤収し5時に出発。朝はとても寒くフリースとダウンを羽織っての出発となった。東天狗岳の前には岩の登があったが、景色は最高だった。その後根石岳を超えた後、一旦夏沢峠までくだり硫黄岳を目指した。どこまで行っても登りの景色が見えるという長くつらい時間だったが、硫黄岳からの景色は360度見渡すことができ、今までの登りのつらさを差し引いてもあまりある光景だった。そこで眺めの休憩と記念撮影を行い景色とお別れをすると、そこから後は主に緩やかな下りで最後は林道に入り今回の山行との別れを惜しみながら美濃戸口に到着した。帰りは小学生ぶりくらいに二階建ての電車に乗り帰宅した。
総括
今回は大学入ってから初めての合宿で、装備やメンバーなどが一新された新しい環境での合宿に多少の不安もあった。しかし、それを吹き飛ばす先輩方や同期、さらには私を変わらず暖かく迎え入れてくれた山の存在に触れとても楽しい山行となった。東京からはアルプスへの交通利便も良くこれからも新たな魅力的な山とであえたらなと思う。(文責:田中亨)
白駒池にて 28日12時20分撮影(田中)
中山峠出発直後 29日5時2分撮影(田中)
硫黄岳山頂 29日8時33分撮影
しゃがんでる人、左から坂本、大矢
立っている人、左から原島、岩崎、内海、曲、田中、小久保
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