夏合宿part2@南アルプス(15/08/18-20)


1.メンバー
** a. 二泊三日班 b. 一泊二日班
・上 茂衡(法3)
・内海 拓人(法2)
・安藤 由都(法1)
・工藤 京平(経1)
・小久保 剣(法1)
・原島 大介(商1)
・太田 貴之(商4)
・大矢 和樹(法2)
・坂本 遼(法1)



2.コースとタイム(一泊二日班)
** 1日目 2日目
時間 出発/到着地点 時間 出発/到着地点
12:00
12:20
12:45
14:35








広河原到着
広河原出発
大樺沢コースとの分岐点到着
白根御池小屋到着








 5:10
  ↓
 6:25
 6:45
 7:35
 8:25
 9:05
 9:35
10:00
11:40
12:05
12:25
14:30
白根御池小屋出発
(草すべりコース)
右股コースへの分岐点
小太郎尾根分岐点
北岳肩の小屋到着
北岳山頂到着
北岳山頂出発
北岳肩の小屋到着
小太郎尾根分岐点
大樺沢二股
白根御池小屋到着
白根御池小屋出発
広河原到着


3..感想及び反省等

 今回は、個人的には初めてのアルプスであったので、計画段階から非常に楽しみであったのだが、私的事情により部分参加となってしまった。まず、反省点としては、準備段階で、振り分け等の指示が遅れてしまい、他の部員を煩わせてしまったことである。次回、計画する際には、もっと早めに行うことが肝要であると感じた。
 今回は登山口である広河原自体が相当、甲府駅から遠く、甲府駅の集合時間をかなり早めに設定していたため、部室に前泊することにした。しかしながら、困ったことに、前日の時点で北岳一帯は大雨であり、林道が雨量規制値超えの影響で、バスが運休していた。そのため、太田さんとともにバス会社や交通局に電話をし、確認したところ、次の日は9時まで運行できるかわからないということであった。そのため、集合時間を当初の8:30から9:30に変更することにした。

●8月18日(火)
 朝起きて、中央線を西へ西へと進んだわけだが、天気はかなりよさそうであった。甲府駅につき、広河原行きのバスが運行されていることを確認すると、安心できた。甲府は広く認知されているように暑かったためか、広河原に到着してみると、空気は幾分ひんやりと感じられた。目の前を流れる、早川は澄み渡っており、まさに清流であった。広河原のバス停からつり橋を渡り、広河原山荘の横から登山を開始した。登り始めは特に急でもなかったのだが、大樺沢との分岐点を境に、一気に急になり始めた。しかしながら、自分が先頭になると、なぜか急登になるとコースタイムより圧倒的に速いペースで歩く癖が出てしまい、他の部員からペースが速いと指摘をうけるということになってしまうのである。休憩は比較的こまめに入れた。それでも、テント泊の荷物量はなかなか多く、みな大変そうであった。そんななかでも、目の前にそびえたつ鳳凰三山の雄姿は、心に余裕を持たせるものであった。
 白根御池小屋には、コースタイムのおよそ六割の時間で到着してしまった。さっそく、テントを張りたいと思っていたのだが、小屋の方からヘリの着陸を知らされ、テントは15時半ころ張り始めた。
 夕ご飯は小屋前の机があいていたので、そこで料理等を行った。太田さんが作成してきたペミカンとシチューの素で、シチューを作り、パンおよびご飯で夕食とした。目の前には薬師岳が夕日に照らされ、悠然とした姿を堪能できた。夜は、次の日は3時起きであったので、早めに就寝した。

●8月19日(水)
 二日目は予定通り3時に起床した。空を見上げるとイマイチ星が見えないので、曇りであろうと判断した。二日目の朝ごはんはラーメンを食した。山の朝は8月といえどもかなりひんやりしており、温かいラーメンの汁は絶品であった。
 空が白み、徐々に朝焼けが出始めた。朝焼けに照らされ、頭上の北岳は橙色に燃え上がり、池の水面には朝焼けと薬師岳が映し出さ、自然の神秘を感じた。
 午前五時過ぎ、一通りの準備が終わり、北岳の山頂に向けて出発した。まずは草すべりコースを抜けるのにおよそ2.5時間かかるとされていたので、かなり大変であろうなと予想していた。当初、歩き始めは寒く、セーターまで着こんでいたのだがものの10分歩くと暑くて仕方がないような状態になり、結局半そでで歩くことにした。草すべりはなかなか急登であり、半袖でも少し汗がにじんだ。例によって、自分が先頭を歩いていたのでスピードがでていたらしく、何度も指摘されるもののなかなかなおらず、かなりのペースであったようだ。しばらくすると振り返ると鳳凰三山と山頂と似たような高さにいることが分かり、雲海が見えた。さらに目を移すと、大樺沢の雪渓が垣間見えた。
 白根御池小屋を出て、わずか90分で、小太郎尾根分岐地点に到達した。気がつけば、北岳の山頂は目の前に近づいて見えた。それだけではない。鳳凰三山のやや左には八ヶ岳が見え、近くの甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳もはっきり確認でき、さらにこの日の朝は空気が非常に澄んでいたので、遠くにあるはずの槍ヶ岳を初めとする、北アルプスの山々が見えた。さらに中央アルプスの山々もはっきり見え、非常に感動した。
 尾根に出ると、とたんに気温が下がり、さらに風が強めに吹いていたので、体感温度はかなり低くなった。道も途中まではかなり歩きやすかったものの、途中からは岩場であったのであるきにくい箇所もあった。岩場を歩く際には、緑色のマーキングを探しながらという感じであったが、なかなか見つけにくく、霧や豪雨時など視界が悪い時にはなかなか危ないなと感じた。そうこうしていると、北岳肩の小屋に到着した。標高3000メートルの標識をみると、なかなか感慨深かった。北岳は肩の小屋からはさほどかからなかった。最後岩場を登っていき、頂上だ!と思ったら、その先に頂上が見えたときは、ややガクッときたが、その頂にたったときの気分はなかなか最高だった。遠くには雲海のかなたに富士山が見えた。360度のパノラマはここまで登ってきたきつさを全て忘れさせるようなものであった。また、北岳はかなり有名なやまだから、山頂はかなり混雑しているのだろうと思っていたのだが、想像以上に空いていて驚いた。保護員のような方がいたので、聞いてみると、次に賑わうのはシルバーウィークのころだという。「ま、そのころにはもう氷張っているよ」と陽気に話してくれた
 帰りは元来た道を引き返すだけであったが、小太郎尾根分岐の近くでもくもく白い雲が湧きあがっているのを見かけた。振り返ってみると山頂は霧の中に隠れてしまってもう見えなかった。いいときに山頂にいったなという感じであった。小太郎分岐尾根からは、行き帰り全く同じ道でも味気ないので、右股コースを通った。話は変わるが、この日はなぜかハエが一帯に大発生しており、かなりうっとうしい感じではあった。
 最後は主に自分の足に巨大なマメができてしまったことが原因であるが、スピードが落ちてきてしまった。やはり、75リットルザックパンパンにつめて、一日に800メートル登って1600メートル下るのは、想像以上に体力がいるのだなという印象である。
 しかし、天気には非常に恵まれたといえる。一日早ければ現地入りは、バスの運休で困難であっただろうし、一日遅ければ雨天であった。北岳から見えた、仙丈ケ岳や甲斐駒ケ岳等には登ってみたいなあと感じ、帰りのバスにゆられた。

8月18日 12:38
広河原小屋~大樺沢方面分岐点間

8月18日 16:56
白根御池小屋前にて
二泊三日班メンバー
(左:上、中央:安藤、右奥から内海、工藤)


以上、一泊二日班の記事担当は法学部二年大矢和樹でした。

☆二泊三日班(文:法学部二年内海拓人)


・天気

2日目:晴れ

3日目:雨

 

・行程、コースタイム

2日目

9:00北岳山頂→10:30北岳山荘→10:50中白根山→11:35-12:30間ノ岳→13:05-13:20中白根山→13:50北岳山荘着、幕営→16:00夕食→19:30就寝

3日目

3:00起床→3:30朝食→4:30撤収→5:25北岳山荘出発→6:30北岳→7:15北岳肩ノ小屋→8:50白根御池小屋→10:15広河原

 

 

1日目

 出発の前日、降雨量が規定値を越えたため甲府駅から広河原へ向かうバスが運行中止になっているという情報が入ってきた。集合時間を1時間遅らせて様子を見ることになったが、正直僕の中でのモチベーションは相当下がっていた。甲府駅に行ってもバスが動いている保証はなく、天気予報によると北岳山頂に向かう2日目以降は雨だった。あまり乗り気ではないが電車に乗り込み、高尾駅の鈍行列車で部員と合流した。高尾から甲府までは2時間近くかかるが、話しているとそこまで長くは感じられない。

甲府駅に降り立つと予想に反して晴れていた。幸いにもバスは通常通り運行していた。駅前のバス停から登山者とザックで一杯のバスに乗り込み、広河原へ向かった。車内では元気のいい車掌のおばさんが勢いよく話していた。出発して間もなく寝てしまったが、途中車の揺れに起こされた。気付くと山奥へと入ってきており、道はバスが通るとは思えないほどの道幅、急カーブの連続であった。

甲府駅出発から2時間、ようやく広河原に到着した。各自準備、装備分担の確認をしていると太田さんが慌ててインフォメーションセンターでフリーズドライの雑炊を買ってきた。2日目夕食のレトルトカレーを家に置いてきてしまったようだった。忘れたのが米の方でなくてよかった。

広河原を出発し、吊り橋を渡ると早速急登が始まった。僕は列の後ろから2番目にいたが、ついていこうとすると少し息が上がりそうになった。真ん中の1年生も苦しそうだったので明らかにペースが早すぎたようだった。毎回のことだが、歩きはじめのペースを掴むのは難しい。

急登が一段落してしばらくするともう御池小屋が見えてきた。思ったより早い到着であった。小屋に到着すると、ヘリが着陸するということですぐには幕営できず、しばらく休憩した。みんなでヘリの着陸の様子を見た後、幕営をして夕食の準備をした。1日目の夕食はペミカンを用いたシチューとパン、アルファ米であった。シチューは、ペミカンの脂っこさが疲れた体に嬉しく、感動的な美味しさであった。ペミカンを使えると料理の幅が広がると感じた。日が沈むと冷えが強まってきて、フリースを着て丁度よかった。小屋の掲示を見ると、2日目の天気予報が上向きになり、雨が降ることはなさそうであった。翌日稜線上から景色が見えることに期待を寄せて就寝した。

 

2日目

 起きると、雨は降っていなかった。まだ暗かったので晴れることを期待しながら朝食の準備を始めた。朝食はインスタントラーメンであった。調理に失敗するはずもなく、肌寒い中で温かいラーメンは嬉しかった。撤収を始めていると、次第に明るくなってきた。良く晴れており、北岳頂上が朝日に照らされて赤く見えた。

撤収を終え、北岳山頂へ向けて出発した。草スベリは相当な急登であると噂は聞いていたが、実際登り始めるとやはり辛かった。後から見ればコースタイムを大きく上回るペースであったので、もっと遅いペースで登るべきであった。高度を上げるにつれて、眺望が開けていった。小太郎尾根分岐まで到達すると、稜線上に出た。視界を遮るものはなく、今までに見たことのないスケールの景色であった。風が少し強くなり、防寒着を1枚着て稜線歩きを始めた。雲の上に出た山脈を眺めながら歩いていると、本当に来てよかったと感じた。北岳山頂までは思っていたよりも険しい登りがあったが、景色を見ていると疲れも忘れられた。

北岳山頂には予定より1時間程早く到着した。文字通り360度のパノラマビューで、雲海上には富士山も見えた。南西方向には間ノ岳へと続く稜線が見えた。記念撮影などを楽しんだ後、一泊二日組と別れて北岳山荘方面を目指して出発した。

山頂出発から僕が先頭を歩いたが、なぜか出発直後から道でない所に入ってしまった。元のコースに戻るまで10分程無駄にし、その後は急な岩場を下っていった。下に見える谷はとても深く、地図上にも危険マークがついている箇所であったため緊張感をもって進んだ。険しい岩場を超えると北岳山荘が見え、再び気持ちの良い稜線歩きであった。北岳山荘で休憩し、今後の行程を話し合った。3日目の天気予報が良くなかったため、行動時間が9時間を超え、沢の渡渉をしなければならない農鳥岳・奈良田への縦走は取りやめることとなった。天気の良い2日目中に肩の小屋まで戻ってしまうことが望ましかったが、間ノ岳往復をするためには時間が足りなかった。そこで、北岳山荘に荷物を置き、時間が許す限り間ノ岳にアタックすることとなった。間ノ岳まで辿り着くためにはコースタイムの1.5倍ほどのペースで歩く必要があった。途中の中白根山あたりまでは良いペースを保っていたが、間ノ岳頂上が見えたところで時間切れとなった。だが、山頂を見てしまうとどうしても行きたくなった。また、帰りもこのペースを保つのは難しいと思われた。そこで、2日目は北岳山荘に幕営することにして、そこからはゆっくりと間ノ岳を目指した。時間に余裕が生まれたので、間ノ岳登頂の後はペースを上げる必要もなく、景色を楽しむことができた。北岳山荘に到着すると幕営をし、夕食まではコーヒーを飲むなどしてのんびりと過ごした。これが登山、特にテント泊の醍醐味であると感じた。2日目の夕食はアルファ米、フリーズドライ食品であった。夕食後は寝たい人は早めに就寝し、僕は1年生とトランプをして遊んだ。明日天気が崩れるとなると、こんなに楽しい登山は今日までかもしれないという不安を抱いて就寝した。

 

3日目

目が覚めると、フライシートに雨が打ちつける音が聞こえた。朝はまだ降っていないだろうと思っていたので、気分が沈んだ。朝食はもう一つのテント内で作ることにした。水を汲みに行くと、ヘッドランプの光が霧に反射して視界が悪かった。雨でさえ嫌なのに、北岳山頂下の岩場を霧の中進むのはとても不安に感じた。インスタントラーメンを食べ終えると周囲が明るくなってきた。だが雨は止まなかった。今日はペースを上げることもできなさそうなので、なるべく早く出発する必要があった。気分が全く乗らないが、雨の中撤収を行った。濡れて重くなったフライシートをゴミ袋でくるんでザックに押し込んだ。

パッキングが終わると北岳目指して出発した。幸いなことに霧は晴れて視界は悪くなかった。だが、濡れて滑りやすくなった岩の上を歩くのは気分が良いものではなかった。足にはこれまで2日分の疲労が感じられた。昨日まで絶景だったとは思えないほど周囲は雲で真っ白だった。北岳山頂直前で一瞬霧が晴れて、間ノ岳方面の稜線が見えた。綺麗な景色を見ると不思議と元気が出た。

北岳山頂を越えると再び雨か強まった。岩場が不安であったが、実際に下ってみると登っていたときに感じたほど急ではなかった。むしろ長時間続く草スベリの急斜面を下る方が辛かった。御池小屋が見えるとようやくここまで戻ってきたと少し安心した。

御池小屋で休憩後、広河原に向けて再び出発した。疲労の蓄積からか、登りよりもずいぶんと長い道のりに感じた。広河原の小屋が見えると思わず笑みがこぼれた。奈良田に下りていれば温泉に入れたのだが、残念ながら広河原には何も無い。代わりに甲府駅でほうとうを食べることにして、東屋の下で雨をしのいでバスを待った。

 

総括

天候悪化の懸念から、結局当初予定していた白峰三山縦走は叶わなかった。実際に3日目は天気が崩れたので、最後に沢の渡渉がある縦走を取りやめた判断自体は正しかったと思う。だが、仮に天気が安定していたとしても、3日目の疲労感を考えると9時間ほどかけて奈良田まで歩くのは厳しかったように思われる。やはり白峰三山を縦走するためには甲府に前泊し、初日の早朝に広河原に入る必要があると感じた。

今回の合宿は2泊3日で、僕にとっては最長の山行となった。最終日の疲労感は今までに感じたことのない独特のものであった。ただ前回の雲取山合宿と比べると、荷物の重量によって体力を削られる感覚は軽減された。今後より長い距離の縦走を行っていくためには、重い荷物を持った状態での歩行にもっと慣れていく必要があると感じた。

今回の合宿では、高低差の大きさや天候の不安定さなど、3000m級の山であるからこそ考慮しなければいけないことがたくさんあった。だが、その分見える景色は今までに見たことのない程スケールの大きいものであった。今後もぜひ南アルプス周辺、そして今シーズンは行けなかった北アルプスの山々に挑戦していきたいと思う。


1日目夕食のシチュー(撮影:内海)1日目17:00


御池小屋より。朝日で赤く染まる北岳。(撮影:内海)2日目5:07


北岳山頂より。間ノ岳方面の稜線。(撮影:内海)2日目8:16


北岳山頂より。富士山。(撮影:内海)2日目8:27