☆天気
8/5 (1日目) 晴れ
8/6 (2日目) 午前、午後晴れ。 夜 雷雨
8/7 (3日目) 午前 曇り時々雨 午後 曇り時々晴れ
☆コースタイム
8/5(1日目) 国立0613===1153伊那大島駅1210==(バス)==1400 鳥倉登山口1406---1458豊口山間のコル1508---1614塩川ルート分岐1619---1648三伏峠
8/6(2日目、停滞) 0535起床→0800出発---0825烏帽子岳0850---0905三伏峠
8/7(3日目) 0330起床→0436出発---0446三伏山---0528本谷山0533---0558権右衛門沢源頭0607---0623分岐---0632塩見小屋0637---0727塩見岳西峰---0730東峰---0815塩見小屋0821---0829分岐---0840権右衛門沢源頭---0917本谷山0921---0953三伏山---1000三伏峠1100---1116塩川ルート分岐---1211豊口山間のコル1230---1257鳥倉登山口
☆行動と感想
(1日目) 予定通り国立0613に到着する列車に乗り込み、伊那大島駅に12時前に到着。バス停は駅を出て道路を渡ったすぐ先にあったので分かりやすかった。バスの乗客は我々3人を除いておじさん1人だけでがらんとしていたが、運賃に加え荷物代を徴収されてしまった。14時ちょうどに鳥倉登山口に到着した。
コースタイムでは鳥倉登山口から三伏峠まで3時間で、この通りに歩けばテント場にたどり着くのが17時となる。普通だったらこのような遅い時間にテント場に到着する計画は避けるべきであるため、事前の計画では伊那大島に10時47分到着後、タクシーを使い早めに三伏峠にたどり着くという予定であった。しかしタクシーに予約を入れる段になって、バスで行くことを強く勧められた。タクシー会社が言うことには、バスのほうが安く済み、このルートでタクシーを利用する登山客が揉めることが多々あるとのことであった。料金が安いことはわかるが、テント場に到着するのが遅くなるのは変わりない。そこで三伏峠小屋に電話して問い合わせてみたところ、バスを利用して17時ごろ到着する登山客は多く、そのような登山客も(怒ることなく)普通に受け入れている、とのことであった。バスだと料金が安くなるほか、タクシーでは鳥倉ゲートまでしか入れないがバスだとその2.5km先の鳥倉登山口まで入ることができるというメリットがあったため、結局バスを使うことにした。
とはいえ予定通り17時頃テント場につくことは避けたかったため、自分が先頭を務め、序盤からそれなりに速いペースで登った。15分ほど歩いて一度休憩をとったが、その地点ですでに汗だくになってしまった。昨年の合宿で体験済みではあったがやはりザックが重い(家で測ったら25kgであった)。森羅から汗かきましたか?と言われたときに、いや全然?と言いたくなったがそこはぐっとこらえて正直に告白した。その後豊川山間のコルで大休止。合宿前から若干体調を崩し気味であった森羅が疲れ気味であったのに加え、自分も早く歩いているとの意識があったため、それ以降はペースを落として歩くことにした。
鳥倉登山口~三伏峠には、途中途中に①から⑩の看板が立っており、自分たちが現在どれくらいの地点にいるのか把握しやすく歩く励みになった。途中滑りやすい木の階段が数カ所あり、滑らないよう注意する必要がある。鳥倉登山口から三伏峠まで高低差が800m近くあり、かなりの急坂が続くところがあるので、上りの際は気張らずゆっくり歩いたほうがいいかもしれない。
結局三伏峠には16時48分に到着した。テント場には十分なスペースがあり地面もよく整地されていたので良い場所である。しかし水場は往復20分程度かかり、飲むことはできなく、小屋で購入する必要があった。夕食はリゾットでとてもおいしかった。リゾットはおいしいのに加え、お米を炊くときに失敗してもごまかせるので、山向けの良い料理であると思う。うちの部でも定番化しつつあるように感じる。
天候判断は悩むところであった。この日の予報では、翌日6日は午後から雷雨の恐れがあり、翌日の7日は晴れ、8日~9日は台風の影響で雨、10日も雨、11日、12日は晴れとの予報であった。次のテント場まで進むかどうか悩んだ。次のテント場である高山裏避難小屋が稜線上にあり、台風が直撃した場合テント倒壊の恐れがあると感じた。高山裏避難小屋に泊まるにせよ、その後ルート通りに進むことは、8,9,10が雨予報なので停滞すると予備日を使い果たしてしまう恐れがあることに加え、下山口の易老渡がすでに交通規制が入っている場所であり台風通過後ここを通過できない可能性が大であった。また二軒小屋や椹島に向かうにしろ、両方とも沢沿いにあり、万一増水した場合を考えるとこちらのルートを使うこともためらわれた(加えてバスを利用するには小屋泊の必要があり、出費が多くなることもあった。バスを利用後タクシーで駅まで向かうとタクシー代だけで一人当たり7000円もかかる計算であった…)。6日も午後から雷雨とのことであるが、5日夜に塩見岳辺りで雷鳴がとどろいており怖かったので、行動中に稜線上で雷に遭遇するのは避けたかった。これらのため、とりあえず6日は三伏峠に停滞し、天気予報を見つつどうするか決めようということになった。
(2日目)
朝7時更新の天気予報が最悪であった。6日はやはり午後から雷雨の予報、7日はかろうじて天気は持つが、8日~11日まで雨(てんきとくらすでC)、12日もBであった。前日の天気予報より明らかに悪化している予報であったことに加え、台風通過後もずっと雨が続くのは異常なのではないかと感じた(合宿前には台風が本州を西に横断する異常な天候があったりもしている)。やはり前進は難しいのではないかと感じ、翌日の天気予報にもよるが先に進むのは断念するという判断をした。しかしはるばる三伏峠まで来たのにそのまま下山するのはもったいないので、進めなくなった場合は塩見岳には登ろうと事前に決めておいたこともあり、6日は雷雨の恐れを考慮し停滞、翌日天候が大丈夫そうなら塩見岳をピークハントすることにした。
しかしこの日はなかなか天気が良く、一日三伏峠でくすぶっているのも辛いものがあると感じたため、烏帽子岳まで行ってみた。すぐに山頂に到着した。なかなかの絶景であった。本来行く予定だった山々が眼前に見えたのだが、本合宿の計画に費やした時間を思い出し落ち込んだ。
山頂にはおじさんが一人いたので写真を撮ってもらった。塩見小屋に一泊しそのまま三伏峠に下山する予定で、天気が良かったので烏帽子岳まで足を延ばしてみたという。塩見小屋はは雨は降らなかったが雷がひどかったと言っていた。そのほかにもいろいろ話してしまった。お互い時間があったからだろうか。
ひたすら読書をしながら三伏峠で過ごしていたが、午後になっても一向に雨が降ってこない。結局雨が降ってきたのは夕食をとっていた17時30分ごろだった。穏やかだった今までと比べて本当にひどい土砂降りであり、テントフライと本体がくっついてしまっているところ(朝森羅がペグを張りなおしていてくれたのだが、それでも直らなかった)から水滴がしたたり落ちてきて私の額に当たった。雷もひどくなり、八時半以降は数秒に一回は光った。明日無事に起きられることを祈って眠りについた。
(3日目)
3日目の天気は、前日の雨が朝まで残る可能性もあり、またそれ以降もにわか雨が降る予報であった。そこで、ひとまず朝3時30分に起き、雨が降っていなければ塩見岳に進み、雨が降っていればやむまで停滞。下山のバスの時間との兼ね合いで10時30分まで雨が続いていればそのまま撤収して下山しようということでまとまっていた。
朝起きてみると、幸い雨はやんでいたため、朝食をとり4時30分ごろ塩見岳に向かい出発。重いものはテントにおいてきたのでかなり早く進むことができた。権右衛門沢源頭から塩見小屋にかけての急坂が個人的にはきつかったが、それでも順調に進み、塩見小屋に6時30分ごろに到着。コースタイムだと休憩込みで8時10分に到着予定であったので、だいぶ巻いた。塩見小屋を出てから数分で稜線に出るのだが、タイミング悪く雨が降り出してしまった。塩見小屋~塩見岳山頂は、長野県と長野県山岳遭難防止対策協会が公開している『信州 山のグレーディング』によるとDランク(同レベルには調整合宿で登った涸沢~北穂岳などがある)であり、岩場の連続でそれなりに危ない場所であったのは事前に知っていたところであった。実際に登ってみると、急な斜面の上に滑りやすい砂利があり、危ない箇所が多かった。ひやっとするときもあり、雨も強くなってきたので撤退が頭をよぎったが、何とか山頂にたどり着くことができた。ここの岩場は、個人的には調整合宿で岩場に慣れた経験が効いていたという実感があった。3人で自撮りをした後早々に下山。下りも怖かったが、雨がやんでくれたのが幸いだった。3泊4日分の装備を背負い、おそらく疲れのピークである前半組がここを安全に下れるのかどうかを考えると、体調不良者が出た段階で広河原に下山してくれてよかったと思った。
下山は登りよりも速いペースを保つことができ、テント場に10時頃にたどり着くことができた。余裕をもって11時に下山を開始。雨で湿った後の丸太の階段を降りるのは怖かったが、ここも早いペースで下山できた。鳥倉登山口には1時ごろ到着。無事下山できてほっとした。
☆合宿を振り返って
・アプローチのむずかしさ
南アルプス南部は、特種東海製紙株式会社の社有林となっており、その管理は株式会社特種東海フォレストが行っている。特にこの地域の東側は、この地域一帯の山小屋に小屋泊しないとアプローチのバスに乗れない制度がとられており(タクシーは入れない)、小屋泊しないとなると、利用できる登山口はかなり限られてくる。タクシーの入れる登山口である易老渡も、土砂崩れが多いため交通規制がかけられており、指定タクシーが一1日3本のみ運行されている状況である。この地域を縦走するなら、計画の段階で交通手段をよく調べておいたほうが良いと思われる。
・天候判断のむずかしさ
今回の合宿は天気予報に翻弄されたといっても過言ではないが、それ以上にCLとしてどのような天候判断を行うのかが難しかったと感じた。夏合宿は上半期最大の目玉であり、特に②合宿は部の中でも重要度の高いものである。このためできる限り完遂させるべきという考えもある一方で、CLとしてはパーティーの安全を第一に考える必要もある。
夏は台風が来る季節でもあるので、ある程度長期の合宿になってくると雨に降られる可能性が高まるのに加え、台風と遭遇しやすくなると思われる。雨や台風の中どのように対応していくかはルートや天気予報と相談するしかないと思うが、現地である程度正確に自分で天候を読む力があれば、大事をとって停滞・下山しようということが減り、先に進みやすくなるのではないかと思った。裏を返せばそのような実力がない場合には停滞・下山するしかないということでもある。
今回は2日目の天気予報が圧倒的に悪かったので、その地点では下山以外の判断をするのは難しかったと思う。しかしふたを開けてみれば台風は東に逸れ、天気も良かったという結果であった。自分の判断が正しかったのかどうかはわからないし、後輩二人には申し訳ないとも思う。
・調整山行の重要性
本文でも触れたが、塩見小屋~塩見岳の岩場では調整山行(穂高)での経験が役に立っている実感があった。夏学期のテスト週間で体がなまっていたり、1か月以上山に行っていない状態から1発目の合宿が長期合宿、というのは危険だとは去年から想定されていたことである。しかしそれだけではなく、今回の場合は調整山行がほぼ岩場であったことが効いていたのではないか、と思う。長期合宿はザックが重いため、岩場での足運びや体の動かし方が重要になってくるが、本合宿の1週間半前に岩場だらけの調整山行を行っていたため、体が岩場の歩き方を覚えていたのが、今回塩見岳を無事下山できたことに繋がっていたと思う(登攀をやっている後輩二人がどうだったかはわからない。あくまで登攀をやらない身での話である)。調整山行の山域の選定は、岩場が多いかどうかということも考慮に入れるといいかもしれない。
・最後に
2泊3日の合宿となってしまい、悔しい気持ちでいっぱいであるというのが率直な思いである。今回南アルプス南部は手つかずで終わってしまったので、来年の夏合宿は是非ここを完走したいと思う。
☆写真
烏帽子岳山頂にて。左から2年三宅、2年佐々木、3年松橋。(8/6 8:35 撮影:登山客)
烏帽子岳山頂から、小河内岳や荒川三山を望む。本来進むルートであった。(8/6 08:30 撮影:松橋)
塩見岳山頂にて。左から三宅、佐々木、松橋。(8/7 7:30 撮影:三宅)
三伏峠水場分岐周辺から塩見岳(一番奥)を望む。(8/6 09:10 撮影:松橋)
烏帽子岳山頂から、小河内岳や荒川三山を望む。本来進むルートであった。(8/6 08:30 撮影:松橋)
三伏峠水場分岐周辺から塩見岳(一番奥)を望む。(8/6 09:10 撮影:松橋)
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